

海苔の基礎
焼く事により海苔の細胞壁は変化します。焼海苔はそれによって風味が強くなっています。
一般の植物の細胞壁はセルロースで構成されています。海苔も植物だが、その細胞壁の骨格はキシランです。そこが焼海苔の特徴を形作る大きな秘密なのです。
キシランは乾燥状態では非常に脆くなります。だから、焼海苔の製造過程で過熱処理を施されると海苔の細胞壁はほとんどこわれてしまいます。
そこに(例えば米や醤油などから)水分が付加されると、壊れた細胞壁の間から揮発性の高いうま味成分(おいしさを感じさせる成分)のアミノ酸等が飛び出してきます。これが、焼海苔の風味が強く感じられる理由だと考えられています。乾海苔の状態で水分を付加したとしても、細胞の中のうま味成分はあまり出てきません。
また、上手な焼き方をすると核酸類が増加することが確認されています。海苔のうま味成分は主にグルタミン酸などのアミノ酸類だが、焼くことを経てイノシン酸、グアニル酸、アデニル酸などの核酸類の増加しアミノ酸類の甘みを引き立てる作用があります。
海苔網から最初から摘み取られた海苔のことをいいます。
『一番摘み』というのは、海苔網から、最初に摘み取られた海苔のことを言います。一番摘み海苔の特徴は、何と言っても柔らかいことと味の良いことで、10月頃に種付けを行った網の『一番摘み』は、『新海苔』とも呼ばれています。
産地によって時期に多少のずれがありますが、だいたい11月から12月がその時期に当たります。
一番摘みを行った後、海苔芽がまた伸びて再び摘採された物を『二番摘み』といい、順次三番摘み、四番摘みと続きます。摘採回数が度重なると海苔芽が老化し、その網からの海苔生産が終了となります。戦前はほとんどの産地が、一冬に一回の網張りで終了する1期作だったが、秋に育苗した網を冷凍保存する技術が完成した戦後には、2期作、3期作をする漁場もでてきました。
現在は、大半の産地で2期作を行うが、この2期作目の網から最初に摘採するのりのことも、『一番摘み』と言います。2回目の一番摘みは産地によって違うが、おおよそ1月から3月に掛けてが一般的です。
様々な条件で乾燥後の重量に誤差が生じるからです。各社の製品基準は統一されていません。 均一の厚みで海苔を製造するのは難しいのです。 海苔の製造は各漁業組合傘下の生産者が行い、等級に分けられた状態で入札に上場されます。上場された海苔を等級単位でメーカーが買付け、自社工場で更に細分化し製品の原料に割り当てます。しかし、海苔の厚みに関しては各漁業組合に明確な規定がありません。 重量の区分けはあるが、これも各組合毎、また生産時期によっても設定が異なります。 海苔は、摘採、洗浄、ミンチ、抄き、一次乾燥の工程を経て製品に仕上がります。 最終の仕上がり重量が1枚3グラムから5グラムの範囲内に収まるように『抄き』直後の重量を調整するのだが、その後の一次乾燥により重量は100分の1程度と大きく変化します。ここでどうしても誤差が生じ、少し軽い(薄い)海苔や少し重い(厚い)海苔ができてしまうのです。 誤差の原因には、下記のようなものがあります。
生産時期に海苔の芽を干出させた時間
海苔芽の品種
摘採の回数(葉体自体の柔らかさ)
塩分の含有量
抄き水の状態
簾の形状
産地
難しいところもありますが不可能ではありません。
最近では、消費者が家庭でごま油などを海苔に塗り、韓国海苔のようにするなど、好きな味を加えて楽しむ気風が生まれています。
さて、家庭でこれらの味を作るのには少々難しい点もあるが、不可能ではありません。
まずは、焼海苔選びです。ダシを塗布し乾燥させると一般に海苔の歯切れが悪くなるから、出来るだけ歯切れの良い海苔を選んでおくのがポイントです。
ダシは通常、昆布、カツオ、海老、味醂、唐辛子、砂糖などの甘み成分、酒、塩、醤油等が使用される。煮詰める際に高温をかけるとダシ自体が焦げて使い物にならなくなるので要注意。水分が多いと焼海苔の風味を逸してしまう点にも注意しなければならないが、反面、煮詰めすぎると塗布が難しくなります。
ダシができたら海苔に塗布します。家庭では刷毛で塗るのが最も簡単です。片面だけに塗布すると、塗布した面だけが収縮しスルメイカを焼いた時のように反ってしまいます。できるだけ両面均一な塗布を行うことがコツです。
最後に低い温度帯で乾燥させます。低い温度の設定が出来るトースターなどがあれば好都合です。室温の焼海苔にダシを塗布すると乾燥が難しくなるため、塗布する前にトースター等で焼海苔の温度を焦げない程度に上げておき、温度が下がらないうちに手早くダシ塗布し、すばやく乾燥させることで、オリジナルの味付海苔が楽しめます。
緑の色素が湿気で分解され、赤と青の色素が残るからです。
海苔の色素成分は、大きく分けて緑藻素(主にクロロフィル)、紅藻素(フィコエリスリン)、藍藻素(フィコシアニン)に分解され、このほかに黄藻素(カロテノイド)などが含まれています。この中で緑の色素は水に弱く、湿気を含むことにより分解されます。
そのため、残った赤と青の色素で紫色になります。
海苔は、湿気に弱いので、出来るだけ早めに食べることで、海苔独特の香り、味、食感が存分に楽しめます。また、焼いた場合は熱に弱い青と赤の色素の大半が分解されるが、20%程度が残ります。その状態では熱に強い葉緑素の緑色が焼海苔の色として識別されます。しかし、時間の経過とともに、残存する青と赤の色素が変性し、緑色が少し茶色っぽい色に変化します。
また、適度に焼き上げた海苔に水分を含ませると、つまり海苔巻きなどにすると、水分の付加により、葉要素の緑が少々後退した紅藻素と藍藻素の色が加わり、黒っぽく変化します。
心配はないと考えられます。
水銀やカドミウムなどの重金属類やダイオキシンといった汚染物質の大半は、海水よりも比重が大きいのです。そのため海底に蓄積され、海水の表層ではほとんど検出されない。一方、海苔は深いところでも海面から70センチ程度までの、いわば海の表層で養殖は行います。つまり海苔が前出の汚染物質にさらされる心配はないのです。
また、海苔は成長の期間が2週間から1ヵ月と非常に短いため、大型の魚などに比べてこれからの毒性の強い物質が蓄積しにくいということです。ダイオキシンのように脂肪分に蓄積する傾向の強い物質についても海苔はほとんど脂肪分が無いため、やはり検出されたことはありません。
また、河川から流れてくる農薬についてもポジティブリスト制の導入で非常に厳しい規制下にあり、使用そのものが抑制されております。
以上の点から、海苔が公害で汚染されていると心配する必要はないということです。
主に海の栄養塩を吸収して成長します。その栄養素は窒素・リン・カリウムなどです。
海苔は主に海の栄養塩(窒素・リン・カリウム)を吸収して成長します。特に、窒素とリンが重要で各漁連・水試より発表される栄養塩値は、アンモニア態窒素を表している事が多いです。海苔が栄養素を吸収する際、窒素とリンを8:1での割合で取り入れます。
海水中に窒素が1mgあっても、リンが0.05mgしかなければ0.4mgしか吸収されません。ただし、栄養塩を吸収するには水温、潮位、潮流、風向きなどが大きく関係します。例えば栄養塩が豊富にあったとしても、風の強い日が続いて海苔芽が流されてしまったり、水温が高過ぎて海苔が病気になってしまったりすることがあります。
また、海中に栄養塩が多過ぎると赤潮になる恐れもあります。
このように海苔は様々な自然条件が相互作用して初めて育まれるデリケートな海産物なのです。



